論文:IT時代の旅行業界における販売士の必要性~その1
こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。販売士協会で優秀賞を頂いた論文の公開を致します。
第一回は「旅行商品の特性」と「購入スタイルの変化」、旅行商品の特性とは何か?についてです。
※本論文に関する著作権は村田和子に帰属します。引用については著作権法第32条に則った形で行い、出典の明記、並びに管理者宛にメールにてご連絡いただきますようお願い致します。
旅行業界にこそ販売士を~IT時代の旅行業界における販売士の必要性~その1
私の名刺には、”旅行ジャーナリスト”という肩書きに加え”販売士一級”が併記されている。仕事柄、旅行業界の様々な関係者……旅行会社、サービスを提供する施設、ホテル、旅館、そして自治体の観光課の方々……と会う機会が多いが、必ずといっていいほど「販売士ってなんですか? 」という質問が返ってくる。残念ながら販売士の認知度は、同じサービス業でありながら旅行業界(※)では、限りなく低いといっていいだろう。しかし私は、「旅行業界にこそ、販売士が必要なのではないか」と考える。
(※)「旅行業界」を本論文では「旅行商品の企画、販売に携わるもの(旅行会社など)、及び旅行という商品の中でサービスを提供するもの(宿泊施設、観光施設、交通機関等)とし、広い意義で捕らえることとする。
現在旅行業界では、団塊世代が退職を迎える2007年を前に団塊世代の取り込みに躍起だ。というのも団塊世代向けの各種の調査では、団塊世代が退職後にしたいことの上位に必ず「旅行」があがっており、経済効果が期待されている。こう考えると非常に先行きが明るい業界に感じられるが、実は沢山の問題も内包している。本論文では、そういった旅行業界の置かれた現状や問題点を、特にインターネットの普及による影響を踏まえつつ解説し、旅行業界における販売士の必要性について述べる。
■「旅行商品の特性」と「購入スタイルの変化」
私が「旅行業界にこそ、販売士が必要」と考える理由は大きく二つある。一つは「旅行という商品の特性」によるところ、そしてもう一つはインターネットの普及による「旅行の購入スタイルの変化」によるところだ。旅行業界の置かれた現状とともに、詳しく見てみよう。
■旅行商品の特性とは何か?
旅行商品の特性として、まず最初に挙げたいのは「目に見えず触れることのできない商品である」ことだ。通常、商品といえば、店頭で手にとってその価値を確かめられるが、「旅行」は、旅行会社の窓口に行ったところで商品そのものがあるわけではない。あくまでパンフレットや窓口のスタッフとのコミュニケーションの中で情報を得て購入を決定する特殊な商品といえるだろう。
次に、「在庫の持越しができない」ということも重要な特徴となる。これは、旅行の一つのパーツである「宿泊」を例に考えるとわかりやすい。ある宿で、今日10室の空室があったとしても、それを需要の多い週末に持ち越すことはできないのである。つまり、その日に稼動していない部屋は価値を産まないということになる。その逆もしかりで、週末や夏休みなど需要が多い時に多く仕入れることも、部屋数が決まっている以上不可能である。つまり常に決まった在庫(部屋数)の稼働率を平準化して高く保つことが重要であるが、需要が決まった日に集中するのは避けられず、安定した稼働率を保つのは極めて難しい。大抵の宿は平日に稼働率がぐんと落ち込む。そのツケは宿泊価格に跳ね返り、稼働率の落ちる平日には価格を下げ(時に激安で提供し)、週末は価格が高騰という価格変動を招いている。これは宿泊に限ったことではなく、交通機関(航空会社/列車/バス等)についても、また旅のパーツが組み合わさった「ツアー商品」にも同様のことがいえる。
そして、旅行という商品の満足度が、人的サービスの如何により大きく左右されるということも忘れてはならない。
以上のことより、「旅行」という商品は、極めて高い「販売スキル」を要し、また在庫を出さない為の「販売・在庫管理」が難しく、販売のプロである販売士の知識は不可欠だと考えるのだ。
>>次回(7/22)へ続く。論文のメニューについてはこちらをご覧ください。
※旅行ジャーナリスト・一級販売士 村田和子公式サイト:http://www.travel-k.com
※旅に関する執筆・講演・コンサル等、仕事に関するご相談・ご依頼はメールでお願い致します
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第一回は「旅行商品の特性」と「購入スタイルの変化」、旅行商品の特性とは何か?についてです。
※本論文に関する著作権は村田和子に帰属します。引用については著作権法第32条に則った形で行い、出典の明記、並びに管理者宛にメールにてご連絡いただきますようお願い致します。
旅行業界にこそ販売士を~IT時代の旅行業界における販売士の必要性~その1
私の名刺には、”旅行ジャーナリスト”という肩書きに加え”販売士一級”が併記されている。仕事柄、旅行業界の様々な関係者……旅行会社、サービスを提供する施設、ホテル、旅館、そして自治体の観光課の方々……と会う機会が多いが、必ずといっていいほど「販売士ってなんですか? 」という質問が返ってくる。残念ながら販売士の認知度は、同じサービス業でありながら旅行業界(※)では、限りなく低いといっていいだろう。しかし私は、「旅行業界にこそ、販売士が必要なのではないか」と考える。
(※)「旅行業界」を本論文では「旅行商品の企画、販売に携わるもの(旅行会社など)、及び旅行という商品の中でサービスを提供するもの(宿泊施設、観光施設、交通機関等)とし、広い意義で捕らえることとする。
現在旅行業界では、団塊世代が退職を迎える2007年を前に団塊世代の取り込みに躍起だ。というのも団塊世代向けの各種の調査では、団塊世代が退職後にしたいことの上位に必ず「旅行」があがっており、経済効果が期待されている。こう考えると非常に先行きが明るい業界に感じられるが、実は沢山の問題も内包している。本論文では、そういった旅行業界の置かれた現状や問題点を、特にインターネットの普及による影響を踏まえつつ解説し、旅行業界における販売士の必要性について述べる。
■「旅行商品の特性」と「購入スタイルの変化」
私が「旅行業界にこそ、販売士が必要」と考える理由は大きく二つある。一つは「旅行という商品の特性」によるところ、そしてもう一つはインターネットの普及による「旅行の購入スタイルの変化」によるところだ。旅行業界の置かれた現状とともに、詳しく見てみよう。
■旅行商品の特性とは何か?
旅行商品の特性として、まず最初に挙げたいのは「目に見えず触れることのできない商品である」ことだ。通常、商品といえば、店頭で手にとってその価値を確かめられるが、「旅行」は、旅行会社の窓口に行ったところで商品そのものがあるわけではない。あくまでパンフレットや窓口のスタッフとのコミュニケーションの中で情報を得て購入を決定する特殊な商品といえるだろう。
次に、「在庫の持越しができない」ということも重要な特徴となる。これは、旅行の一つのパーツである「宿泊」を例に考えるとわかりやすい。ある宿で、今日10室の空室があったとしても、それを需要の多い週末に持ち越すことはできないのである。つまり、その日に稼動していない部屋は価値を産まないということになる。その逆もしかりで、週末や夏休みなど需要が多い時に多く仕入れることも、部屋数が決まっている以上不可能である。つまり常に決まった在庫(部屋数)の稼働率を平準化して高く保つことが重要であるが、需要が決まった日に集中するのは避けられず、安定した稼働率を保つのは極めて難しい。大抵の宿は平日に稼働率がぐんと落ち込む。そのツケは宿泊価格に跳ね返り、稼働率の落ちる平日には価格を下げ(時に激安で提供し)、週末は価格が高騰という価格変動を招いている。これは宿泊に限ったことではなく、交通機関(航空会社/列車/バス等)についても、また旅のパーツが組み合わさった「ツアー商品」にも同様のことがいえる。
そして、旅行という商品の満足度が、人的サービスの如何により大きく左右されるということも忘れてはならない。
以上のことより、「旅行」という商品は、極めて高い「販売スキル」を要し、また在庫を出さない為の「販売・在庫管理」が難しく、販売のプロである販売士の知識は不可欠だと考えるのだ。
>>次回(7/22)へ続く。論文のメニューについてはこちらをご覧ください。
※旅行ジャーナリスト・一級販売士 村田和子公式サイト:http://www.travel-k.com
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